ガートナーは2026年8月26日、顧客サービス部門のリーダーを対象にした調査結果を発表しました。AIへの支出が38%増えた一方、サービス・サポート部門の予算全体は2%しか増えていません。
発表の中身
調査は2026年4〜5月に、サービス・サポート部門のリーダー199人を対象に行われました。予算がほぼ横ばいの中でAI支出が大きく伸びた理由について、ガートナーは、人件費や間接費からテクノロジーへお金を付け替えているためだと分析しています。
チャネルの価値の見通しにも変化が出ています。現時点で最も価値が高いのは、有人のライブチャットと電話です。2年後については、生成AIのチャットボットが最も価値の高いチャネルになると回答者は見ています。ライブチャット、生成AIの音声ボットがそれに続きます。
今後2年で価値が大きく高まると見られている技術は3つです。ノーコードのエージェント作成ツール、通信機能をAPIで提供するCPaaS、顧客のIDとアクセスの管理(顧客IAM)が挙がりました。
ガートナーのディレクター アナリスト、Kim Hedlin氏は「話題性だけでは、その技術が実際の業務課題の正しい解決策にはならない」と述べています。同社は、AI投資が測れる成果につながっているかを確かめることを求めています。あわせて、AIエージェントを安全に作り、動かし、統制できる技術を優先するよう促しています。
背景
ガートナーは2月にも、サービス部門のリーダーの91%が、経営陣からAI導入の圧力を受けているとする調査を発表していました。2025年10月に321人を対象に行った調査です。同じ調査では、8割近い組織が、定型業務の自動化に伴って担当者の一部を新しい役割へ移す計画だと答えています。
経営からの圧力は、半年余りで予算の配分として表に出ました。お金は増えていません。動いているのは、人とAIへの配分です。
日本の事業責任者にとっての意味
予算は増えないのに、AIへの支出は増える。これを「人を減らしてAIに置き換える話」とだけ読むと誤ります。調査が示しているのは、同じ予算の中で配分を組み替える動きです。
売上10〜100億円規模のBtoB事業では、サポートやCSの予算がそもそも小さく、その大半を人件費が占めます。AIを入れるなら、何を減らして何に回すかを先に決める必要があります。たとえば、よくある問い合わせへの一次回答をAIに移し、浮いた時間を大口顧客の定着支援に充てる、といった組み替えです。
もう一つ注目したいのは、顧客IAMが挙がっている点です。AIが顧客の契約や注文に触れるなら、本人確認と権限の管理が欠かせません。AIエージェントの導入計画には、顧客データの権限設計を最初から入れておくべきです。




