Salesforceは2026年9月11日、職務に合わせて最初から作り込んだAIエージェント群「job-ready agents」を発表しました。9月の年次イベント「Dreamforce 2026」でも柱の一つとして紹介し、営業向けにはPiperとHunterの2体をそろえています。
発表の中身
エージェントは全部で7体です。カスタマーサービス、社内のIT・人事窓口、ECの接客、サプライチェーンなど、職務ごとに名前が付いています。
営業向けの1体目「Piper」は、Webサイトや問い合わせ窓口から来たリードに応対し、見込みを見極めて商談に変える役です。テキスト・音声・動画で24時間やり取りし、会話と結果はCRMに残ります。すでに一般提供が始まっています。同社によると、Asanaでは会話の量が4倍になりました。顧客がPiperを導入するまでの期間は、平均45日です。
2体目の「Hunter」は、アウトバウンドの新規開拓を担います。調べる段階から接触まで進め、営業担当と数週間から数か月にわたって協働する設計です。長期の目標を追う新しい実行基盤に載る最初のエージェントで、現在はパイロット、一般提供は2026年11月の予定です。同社は、Perkで商談パイプラインの60%をHunterが作ったと紹介しています。
背景
これまでSalesforceのAIは、顧客が自分で組み立てる部品として売られてきました。今回は「この仕事を任せる」と職務名で提示しています。買う側が設計しなくても使える形に寄せた、と読めます。
数字の上でも、同社はAIを成長の軸に据えています。8月26日発表の2027年度第2四半期決算では、Agentforceの年間経常収益(ARR)が15億ドルを超え、前年同期比240%超の伸びとしました。ただし同四半期からSlackbotなどを集計に含めており、過去との単純比較はできません。
日本の事業責任者にとっての意味
問い合わせが来ても返信が翌日になり、商談化の前に熱が冷める。展示会リストへの架電は担当者の空き時間次第。売上10〜100億円規模の日本のBtoB事業では、このあたりが典型的な詰まりです。PiperとHunterは、まさにこの2か所を狙っています。
導入を考える前に、2つ確かめてください。1つは、問い合わせから初回接触までの時間を測っているかです。測っていなければ、AIを入れても効果が分かりません。もう1つは、「見込みあり」の基準が文章になっているかです。基準が担当者の頭の中にしかない状態では、エージェントに渡す指示が書けません。職務を任せるAIほど、任せる仕事の定義が問われます。




