米国の営業データ企業6senseが、MarketOneと組んで「2026 State of the BDR Report」を公表しました。回答者は872人のBDR(日本でいうインサイドセールスの新規開拓担当)です。AIはほぼ全員に行き渡りました。それでも、成果を分けたのはAIでも活動量でもありませんでした。
何が起きているか
CX Todayの報道によると、BDRのAI利用率は2024年の53%から2026年には99%に上がりました。使い道で最も多いのはメールや文面の作成で、74%です。ところがこの使い方は、予算達成率の高さと結びついていませんでした。達成率の高さと確かな関係を示したのは、会話の振り返りや分析にAIを使う層(62%)です。
活動量も増えました。1人の相手に当たる回数は、2024年の17回から2025年に21回、2026年には34回。2年でほぼ倍です。MarketOneの解説では、この回数は成果を予測する指標になっていませんでした。
目標の引き上げも続いています。MarketOneによると、半数を超える組織がBDRの目標を上げ、その割合は過去5年で最も高い水準です。しかし平均達成率は92%で、前年の89%と統計上の差はありませんでした。
成果を分けたもの
調査が最も強い要因として挙げたのは「仕事上の支え」です。必要な道具と情報がそろい、評価され、成功できる環境にいると本人が感じているかどうか。支えを強く感じる層の達成率はほぼ100%、弱い層は77%でした。差は前年の14ポイントから23ポイントに広がっています。
MarketOneの分析はもう一歩踏み込んでいます。目標を上げた組織ほど達成率が高く見える効果は、支えの度合いをそろえて比べると消えました。圧力ではなく、支えが成果を生んでいるという読みです。
一方で、研修時間は年49時間、47時間、45時間と年々減っています。支えが成果を決めると分かっているのに、投資は細っているのです。
道具の使われ方にもずれがあります。90%のBDRが「購買意欲の高い企業を見つける道具が社内にある」と答えました。ところが、その道具で担当企業が決まると答えたのは2%。連絡を始める時期が決まると答えたのも19%にとどまります。断られた理由の1位は「時期が合わない」で78%。優先度づけの道具を持ち、意欲の高い企業に別の目標を置く組織では、これが44%まで下がりました。
組織の形も動いています。前年はBDRの80%が営業部門の配下でしたが、今年はおよそ63対37でマーケティング部門側に戻りました。人員を減らした組織は8%で、5年で最も少ない水準です。商談として営業に渡す割合は73%から61%に下がりました。
日本の事業責任者にとっての意味
売上10〜100億円規模の日本のBtoB事業でも、インサイドセールスを立ち上げた会社は増えました。そして多くの会社が、件数の目標で回しています。架電数、メール数、アポ数。この調査は、その回し方の限界を示しています。
明日から見直したい点は四つです。
まず、件数の目標を一段下げて見ることです。当たる回数が倍になっても成果は変わっていません。週次の会議で件数を追う時間を、どの企業に当たるべきだったかを振り返る時間に置き換える。それだけで議論の質が変わります。
次に、会話の振り返りに時間を割くことです。AIで文面を作るより、録音した会話を上長と一緒に聞き直すほうが成果に結びついていました。通話録音の仕組みが入っているなら、使われているかを確かめてください。
三つ目は、MAやSFAの情報で「誰に、いつ当たるか」を決めているかです。道具を入れただけで、担当企業の割り振りは昔のまま。この状態の会社は少なくないはずです。
最後に、インサイドセールス担当が支えられていると感じているかを、直接聞くことです。研修、評価、上長との対話の時間。目標を上げる前に、ここが足りているかを確かめる。調査は、それが一番効く手だと示しています。




