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買い手の半数は、まずAIに聞く。選ばれる条件は知名度ではない

G2の調査では、ソフトウェアの買い手の51%がGoogleより先にAIチャットで調べ始めます。Semrushの調査では、AIの回答で目に留まった理由に「名前を知っていた」を挙げた人は7%でした。

文:Growth AX 編集部 読了 3分

BtoBの買い手が製品を調べる入口が、検索エンジンからAIチャットに移っています。G2が2026年4月に公表した調査では、ソフトウェアの買い手の半数が「Googleより先にAIチャットで調べ始めることが多い」と答えました。7月に出たSemrushの調査は、AIの回答の中で買い手の目に留まる条件が、知名度ではないことを示しています。

何が起きているか

G2は2026年3月、BtoBソフトウェアの買い手と意思決定者1,076人に調査しました。AIチャットで調べ始めることがGoogleより多いと答えた人は51%。前年の同社レポートでは29%でした。調査の過程のどこかでAIチャットに頼る人は71%、GoogleとAIを並行して使う人は61%です。

影響は候補選びにまで及んでいます。G2によると、69%の買い手がAIチャットの推薦を受けて、当初考えていたのとは別のベンダーを選びました。3人に1人は、それまで名前を知らなかったベンダーから買っています。G2はこの状況を「回答の経済」と呼び、同社のTim Sanders氏は「回答を勝ち取る」ことが要だと述べています。

Semrushは2026年3〜4月、米国のBtoB実務者643人に調査し、仕事でAIを使う519人の回答を集計しました。66%がベンダーや解決策の調査に日常的にAIを使い、92%が「AIによって候補リストが変わった」と答えています。AIの回答で特定のベンダーが目に留まる理由は、「自社の用途に合っている」が53%、「説明が明確で詳しい」が50%。「名前を知っていた」は7%にとどまりました。

なぜ知名度が効かないのか

理由は、買い手の質問の仕方にあります。Semrushの調査では、61%が自社の用途を説明したうえでAIに尋ね、45%が予算や既存システムとの相性といった条件を付けていました。質問が具体的になれば、AIも具体的な用途に合う会社を返します。有名かどうかより、用途に合うかどうか。AIの回答はそこで分かれます。

ただし、買い手はAIの答えをそのまま信じてはいません。Semrushの調査では75%がAIのベンダー推薦を全面的に、またはおおむね信頼すると答えましたが、AIで名前が挙がったあとの行動を見ると、71%がそのベンダーのサイトを訪れ、63%がGoogleで検索し直しています。AIで調べ始め、検索で確かめる人は41%でした。AIは入口です。決め手は、その先で確かめられる中身にあります。

不満も残っています。Semrushの調査では、27%が「価格や契約の形がAIの答えに反映されていない」と答えました。66%は「AIの結果に出てこないベンダーがあると気づいたことがある」としています。AIに渡せる情報が足りない会社は、比較の土俵にすら上がれません。

日本の事業責任者にとっての意味

売上10〜100億円規模のBtoB事業では、「業界内で名前が通っている」ことが営業の前提になってきました。AIを入口にする買い手には、その前提が効きにくくなります。AIが答えを組み立てる材料は、Web上の説明です。自社サイトに用途ごとの説明がなければ、AIは他社の名前を挙げます。

明日から考えるべきことは3つあります。

1つ目は、自社の顧客が実際にAIにどう聞くかを書き出すことです。営業が受けた問い合わせや、初回商談で出た質問を10個並べ、ChatGPTやGeminiにそのまま投げてみてください。自社の名前が出るか、出るならどう説明されるかを記録します。

2つ目は、用途別・業種別のページを持つことです。「製造業の見積業務」「多拠点の在庫管理」のように、顧客の言葉で用途を書いたページが、AIの回答と照合されます。導入事例も同じ切り口で書き直します。

3つ目は、価格と契約の考え方を出せる範囲で書くことです。金額を全部出す必要はありません。課金の単位や最低契約期間が分かるだけで、AIは比較の材料にできます。

材料は手元にあります。SFAに残っている失注理由、MAに溜まっている閲覧ページの記録。この2つから買い手の質問を拾うことが、新しいツールを足すより先の一手です。