商談の録画・解析で知られる米Gongが、2026年9月30日に年次イベント「Celebrate ‘26」で新製品群を発表しました。中心は「Gong Activate」で、同社はこれを「次世代のRevenue AI」と位置づけています。
発表の中身
Gong Activateは、常時動くAIエージェントが取引先・案件・施策を評価し、推奨する次の一手を組み立てる仕組みです。担当者には進め方の指示を出し、計画の一部の手順は専用エージェントが自動で実行します。結果は同社のデータ基盤「Gong Revenue Graph」に戻り、次の判断に使われます。
同時に3つの機能も発表しました。1つ目は「Gong Enrich」です。取引先や担当者の欠けた情報を自動で埋めます。Apollo、ZoomInfo、Lusha、LeadIQなど10社が提携先に名を連ねました。2つ目の「Agent Builder」は、条件や起点を決めると自動で動くエージェントを作る機能です。自然文で指示しても組めます。3つ目は「Deep Mode」で、社内アシスタントが込み入った経営上の問いを調べ、根拠つきで答えます。
共同創業者でCEOのAmit Bendov氏は「何年もの間、AIは勝ち方を教えてきた。これからはAIが案件を勝ち取る」と述べています。
背景
Gongはもともと「会話を記録し、分析する」道具として広まりました。今回の発表は、その分析結果を「次に何をするか」に変え、実行の一部まで引き受ける方向へ踏み出したものです。
壇上では顧客事例も紹介されました。同社の発表によると、導入から1年を迎えたCiscoは全社で1万8,000のライセンスを展開しました。先行して使ったチームでは、案件規模が約32%大きく、受注率が26%高かったといいます。いずれもGongが発表した数字で、比較の条件までは示されていません。
日本の事業責任者にとっての意味
SFAに商談記録はあるのに、次の手は担当者の勘で決まっている。売上10〜100億円規模の日本のBtoB事業で、よく見る姿です。Gongの発表は、記録と分析だけでは成果に届かず、「次の一手」を決めて動かすところまでつなぐ必要がある、という市場の流れを示しています。
ただし、この仕組みは会話や活動の記録がそろっていることが前提です。商談メモがSFAに入っていない、入っていても形式がばらばら、という状態では、AIが評価する材料がありません。まず確かめるべきは、自社の商談のうち何割が記録として残っているかです。その数字を見てから、ツールの話をしても遅くありません。
もう1点、データ補完に外部10社を並べたことにも注目できます。1社のデータベースで全部を埋める時代ではなく、目的に応じて複数のデータ源を組み合わせる設計が前提になりつつあります。




