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実行

購買で一番長いのは「評価」になった。承認後に覆る商談

G2の2026年購買行動調査で、ソフトウェア購買の最長工程が初めて「評価」になりました。財務の関与は1年で31%から46%へ。承認済みの購買をCFOに覆された経験を持つ買い手は49%でした。

文:Growth AX 編集部 読了 3分

ソフトウェアのレビューサイトを運営するG2が、2026年版の購買行動調査を公表しました。買い手が候補を見つけるのは速くなりました。代わりに、候補を絞ってから契約に至るまでが長く、険しくなっています。現場が「これにしよう」と決めた後で、財務が覆す例も珍しくありません。

何が起きているか

調査は2026年6月、北米・欧州・アジア太平洋のBtoBの購買意思決定者1,038人に行われました。G2は加えて、売り手側の責任者55人にも聞き取りをしています。

G2によると、購買の工程で最も長いのは「評価」だと答えた買い手が40%(前年36%)。「情報収集」の36%、「決定」の22%を上回りました。ライターのケイリー・ムーア氏は、評価が最長になったのはこの調査で「初めて」だと指摘しています。

候補を決めた後に何が遅れの原因になるかも聞いています。最も多いのはITのセキュリティ審査で39%。大企業に限ると50%に上がります。予算承認が32%、導入計画が25%と続きます。

財務の存在感も急に増しました。ソフトウェアの購買判断に財務部門が関わる割合は、1年で31%から46%に上がっています。そして49%の買い手が、承認済みだったソフトウェアの購買をこの1年でCFOに覆された経験を持っていました。

なぜ評価が長くなったのか

一つは、探す作業が軽くなったことです。G2の調査では、8割を超える買い手が過去2年でAIチャットにソフトウェアの推薦を求めていました。候補はすぐ並びます。その分、並んだ候補を比べ、社内の各部門を納得させる工程に時間が寄りました。

もう一つは、お金の出し方を厳しく見られていることです。AIを理由に、ソフトウェアの予算が増えたと答えた買い手は半数に上ります。増えた予算には、財務の目が向きます。生成AIの利用枠の予算を持つ組織では、CFOが承認済みの購買を止めた割合が54%。持たない組織の29%を大きく上回りました。

契約の考え方も変わっています。70%の買い手が、AIの進化が速いことを理由に短い契約期間を選ぶ方向にあると答えました。契約から6か月以内に投資を回収できると期待している買い手は4人に3人です。売り手から見れば、長い契約で囲い込む手は使いにくくなりました。短い期間で成果を見せ、更新で選ばれ続ける前提に立つ必要があります。

社内の空気も一枚岩ではありません。AIの導入に社内の抵抗があることを懸念する買い手は、1年で16%から29%に増えました。評価の工程には、製品の比較だけでなく、社内の反対をどう収めるかという仕事も含まれています。

G2のCFOであるアレックス・ブラッドリー氏の言葉が、この状況をよく表しています。「商談は、ユーザーが『はい』と言ったときではなく、買い手がその金額を説明しきれたときに決まる」。

日本の事業責任者にとっての意味

日本のBtoBには稟議という仕組みがあります。現場が気に入っても、経理・情報システム・役員の確認を通らなければ契約になりません。G2の調査は、海外でも同じ構造が強まっていることを示しています。売上10〜100億円規模の事業でも、商談の山場は「現場の合意」の後に移りつつあると考えるべきです。

明日から手を付けたいことは三つです。

一つ目は、承認の後で失った商談をSFAで数えることです。多くの会社は、失注を一つの段階でまとめて記録しています。「現場は合意したが、稟議で止まった」案件を分けて記録すれば、どこで負けているかが見えます。

二つ目は、セキュリティと財務の資料を、聞かれる前に出すことです。セキュリティのチェックシートへの回答、費用対効果の試算、6か月で何が変わるかの見通し。買い手の担当者が社内でそのまま使える形にします。

三つ目は、財務や情報システムの担当者に会う時期を前倒しすることです。最後に初めて顔を合わせるのでは遅い。商談の早い段階で「この購買を承認するのは誰か」を買い手に聞き、その人が気にする論点を先に潰す。評価が長くなった時代の営業は、この準備で差がつきます。