ガートナーは2026年8月4日、顧客の87%が「生成AIで顧客対応をする企業は、人の担当者につながる手段を用意すべきだ」と考えているとする調査結果を発表しました。Twilioも8月28日、消費者の78%がAIエージェントを避けて人につながろうとした経験があるとする調査を公表しています。
発表の中身
ガートナーの調査は、2026年2〜3月に、BtoBとBtoCの顧客3,566人を対象に行われました。生成AIで「やり取りが楽になる」と答えた顧客は50%です。一方で87%が、人の担当者につながる手段を欠かせないとしています。AIを使いたくない顧客が考えを変える条件として最も多く挙げたのも、人に切り替えられることでした。
顧客の側のAI利用も進んでいます。生成AIを使う顧客の58%は、AIに自分の代わりにタスクを実行させた経験があり、BtoBに限ると74%です。直近の問い合わせでは、企業が用意したチャットボットより、ChatGPTなど外部の生成AIを使った顧客のほうが約3倍多くいました。
ガートナーのシニア ディレクター アナリスト、Eric Keller氏は、生成AIをすべての問い合わせの必須の入口にすべきではないと述べています。同社が勧めるのは、AIが情報を集めて意図をつかみ、確信が高いときだけ解決を試み、人への道をはっきり示す設計です。
Twilioの調査では、いつでも簡単に人へ切り替えたい消費者が63%なのに対し、その手段を用意している企業は47%でした。AIが解決に失敗し、人に切り替わるまでに、1回のやり取りあたり81秒が無駄になっているとも報告しています。
背景
AIエージェントの導入は進んでいますが、顧客の信頼は追いついていません。Twilioによると、企業の81%が「AIであることを最初に開示している」と答える一方、開示されたと感じている消費者は22%にとどまります。作る側と使う側の認識には、大きな差があります。
両社の結論は同じ方向を向いています。AIを窓口の前に立てるかどうかではなく、AIが外れたときにどう人へ渡すかで、顧客の評価が決まるということです。
日本の事業責任者にとっての意味
BtoBの問い合わせは、個人向けより中身が重くなりがちです。契約、請求、障害対応のように、間違えたときの損失が大きい案件が多いからです。ここでAIが行く手をふさぐと、不満はそのまま契約更新の判断に響きます。
AIを窓口に置くなら、決めておくことは3つです。どの問い合わせをAIに任せ、どれを最初から人に回すか。AIから人へ引き継ぐとき、それまでの会話と顧客情報をどう渡すか。相手がAIか人かを、顧客がすぐ分かるようにするか。
ガートナーの調査で、BtoBの顧客の74%がAIにタスクを代行させていた点も見逃せません。顧客側のAIが問い合わせてくる時代に、自社の窓口がAIしか出てこない作りでは、顧客との関係は深まりません。




