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データ・基盤

AI経由の流入はわずか0.5%。それでも見過ごせない理由

米Orbit Mediaが97のBtoBサイト、約2,900万訪問を分析しました。AI経由の訪問は全体の約0.5%ですが、問い合わせなどへの転換率は1.91%で、Google検索の0.5%を大きく上回りました。

文:Growth AX 編集部 読了 3分

AI検索から自社サイトに来る人は、まだごく少数です。米国のWeb制作会社Orbit Mediaが2026年7月に公表した分析では、BtoBサイトの訪問のうちAI経由は約0.5%でした。ただし、その少数が問い合わせにつながる率は、検索エンジン経由を大きく上回っています。

何が起きているか

Orbit Mediaの共同創業者Andy Crestodina氏は、GA4を入れたBtoB・リード獲得型の97サイトを調べました。対象期間は2025年7月から2026年6月まで。訪問は約2,900万件です。

AI経由の訪問は約14万件で、全体の約0.5%。200訪問に1件の割合です。その82.3%をChatGPTが占めていました。Google検索は、ChatGPTの約100倍の訪問を送っています。量で見れば、AIはまだ小さな流入元にすぎません。

差が出たのは、転換率です。同社は問い合わせフォーム、デモの依頼、商談の予約、電話のクリックを「意図の強い行動」として数えました。AI経由の転換率は1.91%、ChatGPT経由に限ると2.08%。Google検索経由は0.5%でした。AI経由の訪問者は、ほかの自然流入に比べて約3倍リードになりやすく、この傾向は約3分の2のサイトで個別にも成り立ちました。AI経由の訪問者が最も高い率で転換したのは、導入事例のページです。

なぜそうなっているか

Crestodina氏は「AIは、見込みの薄い訪問者をあまり送ってこない」と書いています。買い手はAIとのやり取りで比較と絞り込みを済ませ、候補を決めてからサイトに来ます。だから、来た時点で問い合わせに近い状態にあります。

検索結果の側でも変化が進んでいます。米Seer Interactiveは2026年4月、53ブランド・約547万クエリ・24.3億回の表示を分析した結果を公表しました。Googleの検索結果にAIによる要約(AI Overviews)が出たときの自然検索のクリック率は、2025年2月の3.56%から12月には1.31%まで下がりました。2026年2月には2.36%まで戻っていますが、要約が出ない検索との差は残っています。

同社の分析で目を引くのは、要約の中で自社が引用されるかどうかの差です。情報収集型の検索では、100万回の表示あたりのクリックが、要約なしで約3万3,500件、要約に引用された場合で約2万700件、引用されなかった場合で約9,400件でした。引用されるかどうかで、クリックは2倍以上違います。要約が出やすいのは、比較(95.4%)、レビュー(86.3%)、価格(83.4%)を含む検索。どれも、買い手が候補を絞る場面の検索です。なお、Seer自身はこのデータを「方向性を示すもの」とし、因果関係までは主張していません。

日本の事業責任者にとっての意味

2つの調査を合わせると、見えてくる姿は1つです。サイトへの流入は、量では減る方向に進みます。その一方で、残った流入は、比較を終えて決めかけた買い手に寄っていきます。流入の量だけを見て「AI検索はまだ関係ない」と判断すると、いちばん商談に近い入口を見落とします。

明日やることは、計測の手直しです。GA4で、ChatGPTやPerplexityなどAI系の参照元をまとめたチャネルを作り、その訪問の行き先と問い合わせ率を見てください。Orbit Mediaも指摘するように、AI経由の訪問の一部は「自然検索」や「直接流入」に紛れます。数字は少なめに出ると考えておきます。

次に、その問い合わせがSFAで商談になったか、受注したかまで追います。MAとSFAがつながっていても、流入元が商談の項目に残っていない会社は多いはずです。リードを作るときに流入元を必ず持たせる。これだけで、AI経由の商談の質を数字で語れるようになります。

最後に、比較・価格・導入事例のページを見直します。AIが要約を出しやすく、AI経由の訪問者が最もよく動くのが、この種類のページです。新しい記事を量産する前に、すでにあるページで答えるべき問いに答えているかを確かめるのが先です。